春の花に寄せて──耳にやさしい日々の工夫

あめがぱらぱらと降り始めたある日。空はどんよりと重たく、雲が低く垂れこめていました。けれど、そんな空の下にも春は確かに息づいていて、白い藤の花が静かに咲いていました。そのそばには、八重桜も華やかに咲き誇り、私たちに「今年も春が来たよ」と知らせてくれているようでした。

そんな中、体調を崩されてお休みされていたAさんのことをふと思い出しました。今年はお花見ツアーにも出かけられず、少し寂しい春になってしまったかもしれません。最近では「急に耳が遠くなったみたいで、テレビの音も聞こえないの」と、担当者会議でぽつりと話されていた姿が印象に残っています。

松本市

年齢とともに変化していく身体の機能。その一つが「聴こえ」の変化です。とはいえ、現代には便利なサポートグッズもたくさんあります。たとえば、音声を手元のスピーカーに届ける「テレビ用ワイヤレススピーカー」や、字幕が見やすくなる大画面テレビ、さらにはスマホと連動して音量調整できる補聴器など、日々の暮らしを少しだけ快適にしてくれるアイテムが増えてきました。

Aさんにも、そんなグッズがきっと力になってくれるはず。耳にやさしい工夫を取り入れながら、来年の春こそは藤や桜をゆっくり眺めることができますように。

春の花は、毎年変わらぬ場所で、変わらぬ姿で咲いてくれます。だからこそ、私たちもまた、それぞれの春を大切に過ごしていけたらと思うのです。